有料版で予定している分析(見本)
数理モデルによる分析
数理モデルとは、全国の市区町村の統計から「条件と結果の関係」を式にしたものです。その式を使って、次の 3 つについて、統計から計算した推計を数字で示します。
1. 推計値との差
この市の人口当たりの飲食店や小売店の数は、人口規模や人口密度などの条件から計算した値と比べて、多いか少ないか。
2. スコアの安定度
「条件で探す」でスコアの上位に出た市区町村は、重みを 0.5〜2 倍の範囲で変えても、上位 10 位に入り続けるか。
3. 支出の規模の推計
年齢構成と世帯数だけが変わるとしたとき、市区町村に住む世帯の外食や教育などの支出の規模(全国平均の支出額から計算した指数)はどう変わるか。
今は見本として千葉県の 3 市(船橋市・柏市・松戸市)の結果を公開しています。有料版で、全国の、必要な統計の値がある市区町村に対応する予定です。どの結果も統計から計算した推計で、候補地の良し悪しや出店の可否を判断するものではありません。
1. 推計値との差
何が分かるか: 飲食店の数・小売店の数(どちらも人口1万人当たり)と小売の販売額(人口1人当たり)のそれぞれについて、人口規模・人口密度・昼と夜の人口の比・高齢化・単独世帯の多さ・人口の増減と都道府県から計算した値(推計値)と、実際の値との差です。
読み方の例
船橋市の飲食店数は、人口1万人当たり 24.6 店です(2021年)。人口規模や人口密度などの条件を全国の傾向に当てはめて計算すると 31.8 店になり、実際の数はそれより 22.6% 少ないです。当てはめに使った全国の市区町村の 8 割は、この差が -35%〜+56% に入ります。船橋市の差はその範囲の中なので「推計値の範囲内」と表示します。なお、飲食店数(人口1万人当たり)の推計値で説明できる割合の目安(R²)は 0.37と低めです。この差は出店の余地を示すものではありません。
| 指標 | 船橋市 | 柏市 | 松戸市 |
|---|---|---|---|
| 飲食店数(人口1万人当たり) (店、2021年) | -22.6%実際 24.6 / 推計値 31.8推計値の範囲内 | -22.6%実際 25.7 / 推計値 33.2推計値の範囲内 | -15.5%実際 27.1 / 推計値 32.1推計値の範囲内 |
| 小売業事業所数(人口1万人当たり) (事業所、2021年) | -9.9%実際 33.8 / 推計値 37.5推計値の範囲内 | -4.0%実際 40.3 / 推計値 42.0推計値の範囲内 | -6.8%実際 35.7 / 推計値 38.3推計値の範囲内 |
| 小売業販売額(人口1人当たり) (万円、2020年) | -27.1%実際 87.2 / 推計値 119.6推計値の範囲内 | -9.5%実際 111.6 / 推計値 123.3推計値の範囲内 | -31.8%実際 71.1 / 推計値 104.3推計値の範囲内 |
上の数字は「実際の値 ÷ 推計値 − 1」(実際の値が推計値より何%多いか少ないか)。推計値は、人口規模・人口密度・昼夜間人口比率・65歳以上の割合・単独世帯の割合・人口増減率(いずれも2020年)と都道府県から、全国の市区町村の傾向を回帰で当てはめて計算した値です。「推計値の範囲内」は、当てはめに使った市区町村の 8 割が入る差の幅(飲食店数(人口1万人当たり)は -35%〜+56%、小売業事業所数(人口1万人当たり)は -25%〜+33%、小売業販売額(人口1人当たり)は -38%〜+51%)に入っていることを示します。当てはめに使っていない市区町村の予測では、外れがもっと大きくなりえます。当てはまり(交差検証の R²。1 に近いほど推計値が実際の値をよく説明する)は、飲食店数(人口1万人当たり) 0.37、小売業事業所数(人口1万人当たり) 0.61、小売業販売額(人口1人当たり) 0.43です。飲食店数(人口1万人当たり)は説明できる割合が小さく、差は幅を広くみる必要があります。推計値と差は当サイトが計算したもので、国が作成したものではありません。
差は、出店の余地や過剰を示すものではありません。観光客や通勤・通学の人の流れ、商業施設の立地、規制、隣の市区町村との行き来など、モデルに入っていない理由でも差が出ます。
読むときの注意
- 差は、出店の余地や過剰を示すものではありません。観光客や通勤の人の流れ、商業施設、規制など、式に入っていない理由でも差が出ます。
- 推計値で実際の値をどのくらい説明できるかの目安(R²。0〜1 で、1 に近いほどよく説明できる)は、飲食店数(人口1万人当たり) 0.37、小売業事業所数(人口1万人当たり) 0.61、小売業販売額(人口1人当たり) 0.43です。飲食店数(人口1万人当たり)は説明できる割合が低めです。
- 政令市の区は、推計値が実際より高く出やすい(「推計値より少ない」と出やすい)傾向があります。
計算の方法(詳しく)
- 目的の値: 飲食店数(人口1万人当たり、2021年)、小売業事業所数(人口1万人当たり、2021年)、小売業販売額(人口1人当たり、2020年)。対数にしてから当てはめます。
- 説明に使う値: 人口(対数)、人口密度(対数)、昼夜間人口比率(対数)、65歳以上の割合(%)、単独世帯の割合(%)、人口増減率(2015→2020年、%。±30%で頭打ち)。いずれも2020年の国勢調査の値で、人口密度は総面積から計算します。所得は、入れても当てはまりが良くならなかったため使っていません。
- 都道府県の違い: 都道府県ごとの定数(固定効果)として入れます。
- 当てはめ方: 外れ値に引きずられにくいフーバー回帰。当てはめに使うのは、政令市の区を除く全国の市区町村です(区は市と二重になるため)。区にも同じ式で推計値を出しますが、区は推計値が実際の値より高く出やすく、「推計値より少ない」になる割合が市区町村全体(約 1 割)より高い傾向があります。
- 人口増減率は ±30% で頭打ちにします(2015年の人口がごく少なかった避難指示解除後の町村などの極端な値が、当てはめを動かさないようにするため)。
- 当てはめ方を普通の最小二乗に変えると、差は数ポイント変わります。境界に近い市区町村は、方法によって区分が変わることがあります。
- 当てはまりの確かめ方: 市区町村を 5 つに分け、4 つで当てはめて残り 1 つを予測する交差検証で、説明できた割合(R²)を測ります。
| 目的の値 | 調査年 | 当てはめた市区町村の数 | 交差検証の R² | 当てはめた市区町村の 8 割が入る差の幅 |
|---|---|---|---|---|
| 飲食店数(人口1万人当たり) | 2021年 | 1,729 | 0.37 | -35.3%〜+56.1% |
| 小売業事業所数(人口1万人当たり) | 2021年 | 1,735 | 0.61 | -24.7%〜+33.0% |
| 小売業販売額(人口1人当たり) | 2020年 | 1,632 | 0.43 | -37.6%〜+51.1% |
R² は 0〜1 で、1 に近いほど推計値が実際の値をよく説明しています。飲食店数は説明できる割合が小さく、推計値と実際の値の差の幅が広くなっています。
係数(目的の値の対数に対する値)
| 説明に使う値 | 飲食店数(人口1万人当たり) | 小売業事業所数(人口1万人当たり) | 小売業販売額(人口1人当たり) |
|---|---|---|---|
| 人口(対数) | +0.0796 | +0.0040 | +0.1539 |
| 人口密度(対数) | -0.0648 | -0.0534 | +0.0138 |
| 昼夜間人口比率(対数) | +0.9903 | +0.7985 | +1.5770 |
| 65歳以上の割合(%) | -0.0027 | +0.0100 | -0.0214 |
| 単独世帯の割合(%) | +0.0241 | +0.0093 | -0.0094 |
| 人口増減率(2015→2020年、%。±30%で頭打ち) | -0.0191 | -0.0216 | -0.0069 |
対数で入れている値(人口・人口密度・昼夜間人口比率)は、その値が 1% 大きいと推計値が約「係数」% 大きくなることを示します。割合・増減率(%)で入れている値は、その値が 1 ポイント大きいと推計値が約「係数 × 100」% 大きくなることを示します(ほかの値と都道府県が同じとき)。
2. スコアの安定度
何が分かるか: 「条件で探す」のスコアの上位に出た市区町村が、重みを 0.5〜2 倍の範囲で変えたときに、上位 10 位に入る割合です。
読み方の例
「単独世帯の割合」を重み 2、「所得」を重み 1 にしてスコアを付けたとします。重みの 2 や 1 は利用者が決めた数で、ほかの決め方もありえます。そこで、それぞれの重みを 0.5〜2 倍の範囲でランダムに変えて 1,000 回計算し直し、一覧の市区町村の中で上位 10 位に入った回数の割合を出します。100% なら、1,000 回すべてで上位 10 位に入った市区町村です。割合が低いほど、重みの付け方しだいで順位が入れ替わります。
見本として、「条件で探す」でスコアの指標を 2 つ以上選び、スコアの高い順に並べると、上位 10 件に「上位10位に入る割合」の列が出ます。
読むときの注意
- 重みの例は表示のためのもので、当サイトが勧める重みではありません。割合が高いことは、候補地として良いことを示しません。
- 乱数を使うため、割合には数ポイントの揺れがあります(同じ条件なら同じ値を表示します)。この計算方法はモンテカルロ法と呼ばれます。
3. 支出の規模の推計
何が分かるか: 年齢構成と世帯数だけが変わるとしたときの、市区町村に住む世帯の支出の規模の推計です。2020年を 100 とした指数で、全国平均の 1 世帯当たりの支出から計算するため、金額や実際にその地域で使われた額ではありません。費目は消費支出(合計)、食料(外食を除く)、外食、被服及び履物、保健医療、教育、教養娯楽です。
読み方の例
2020年を 100 とすると、船橋市の人口は 2050年に 101.4(1.4% 増)と推計されています。一方、外食の支出の規模は 98.8(1.2% 減)、教育は 90.2(9.8% 減)、保健医療は 108.6(8.6% 増)です。人口が同じくらいでも、世帯主の年齢によって使うお金が違う(例: 外食は、世帯主が30〜39歳の世帯で月 18,986 円、70歳以上の世帯で月 6,100 円。2024年の家計調査)ため、この計算では、年齢構成が変わると費目ごとに違う動きになります。
表の数字は 2020年を 100 としたときの値で、100 より大きければ 2020年より増え、小さければ減ることを示します。
| 2020年=100 | 船橋市 | 柏市 | 松戸市 |
|---|---|---|---|
| 人口(将来推計) | 101.42035年 102.7 | 102.12035年 103.5 | 95.52035年 98.9 |
| 世帯数(推計) | 106.02035年 105.9 | 105.52035年 105.5 | 100.52035年 102.3 |
| 支出: 消費支出(合計) | 104.32035年 105.4 | 103.82035年 104.9 | 98.82035年 101.9 |
| 支出: 食料(外食を除く) | 106.92035年 106.1 | 106.12035年 105.6 | 101.72035年 103.0 |
| 支出: 外食 | 98.82035年 103.0 | 98.72035年 102.4 | 92.82035年 98.7 |
| 支出: 被服及び履物 | 100.82035年 103.7 | 100.52035年 103.1 | 95.22035年 100.0 |
| 支出: 保健医療 | 108.62035年 107.6 | 107.62035年 106.8 | 103.22035年 104.4 |
| 支出: 教育 | 90.22035年 92.5 | 91.32035年 95.1 | 84.62035年 89.3 |
| 支出: 教養娯楽 | 103.22035年 105.0 | 102.72035年 104.3 | 97.62035年 101.4 |
大きい数字は2050年、小さい数字は2035年の推計(2020年=100)。世帯数と支出は、2020年の国勢調査の世帯主の年齢別の世帯数から市区町村ごとの世帯主率を出し、それが変わらないとして将来推計人口に掛け、世帯主の年齢階級別の 1 世帯当たりの支出(2024年の家計調査、全国の総世帯)を掛けて合計したものです。家計調査は標本調査で、世帯主が 29歳以下の世帯は標本が少なく、その年齢階級の支出は誤差が大きくなります。物価の変化、1 世帯当たりの支出の変化、地域による支出の違いは入れていません。将来推計人口はそれ自体が一定の仮定にもとづく推計で、家計調査は標本調査です。2035・2050年の数字の当たり外れは検証していません。推計値・指数は当サイトが計算したもので、国が作成したものではありません。
読むときの注意
- 年齢構成と世帯数の変化だけで計算しています。1 世帯当たりの支出は全国の平均のまま変わらないとしていて、地域による違い、物価の変化、暮らし方の変化は入れていません。
- 将来の数字の当たり外れは検証していません。
計算の方法(詳しく。世帯主率法)
- 2020年の国勢調査から、市区町村ごとに、世帯主の年齢(5 歳階級)別の一般世帯数をその年齢の人口で割り、世帯主率を出します。年齢不詳の世帯は、年齢の分かる世帯の割合で割り振ります。
- 世帯主率が2020年のまま変わらないとして、国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口(5 歳階級)に掛け、将来の世帯主の年齢別の世帯数を推計します。
- 家計調査(2024年、総世帯)の世帯主の年齢階級別(29歳以下、30代、40代、50代、60代、70歳以上)の 1 世帯当たりの支出を掛けて合計し、2020年を 100 とした指数にします。
- 1 世帯当たりの支出は全国の値で、地域の違い、物価の変化、将来の支出の変化は入れていません。指数は「年齢構成と世帯数の変化だけで支出の規模がどう変わるか」を示すものです。
有料版で予定していること
- 推計値との差と支出の規模の推計を、全国の、必要な統計の値がある市区町村で表示し、比較レポートと CSV に入れる
- スコアの安定度を、絞り込んだすべての市区町村で表示し、CSV に入れる
有料版の内容・料金・提供時期は決まっておらず、変更または中止することがあります。先行登録は購入の申込みではなく、登録しても購入の義務は生じません。
出典
- 住宅・土地統計調査
- 住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数
- 住民基本台帳人口移動報告
- 国勢調査
- 市町村税課税状況等の調(社会・人口統計体系)
- 経済センサス
- 経済センサス等
- 国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」
- 総務省統計局「家計調査」(家計収支編、総世帯、2024年、詳細結果表 第4表)
- 総務省統計局「令和2年国勢調査」(人口等基本集計 第12-3表)
出典:政府統計の総合窓口(e-Stat)(https://www.e-stat.go.jp/)。総務省統計局「家計調査」「令和2年国勢調査」のデータをこみちワークス(立地ノート)が加工して作成。
推計値・指数・割合は、上記の統計から当サイトが計算したもので、国が作成したものではありません。